○嬬恋村空家等及び空地の適正管理及び有効活用に関する条例
令和3年12月13日
条例第30号
(目的)
第1条 この条例は、空家等及び空地の適切な管理及び有効利用に関し、村及び所有者等の責務を明らかにするとともに、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第4条の規定に基づく空家等に関する対策の実施その他の空き家等に関する措置について、必要な事項を定めることにより、生活環境及び景観の保全を図り、安全で安心な村民生活を確保し、もって魅力あるむらづくりの推進に寄与することを目的とする。
(1) 空家等 村の区域内に存する建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
(2) 特定空家等 放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害になることが予見される状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
(3) 空地 宅地化された土地又は住宅地に隣接する土地で、現に所有者等が使用していない土地(農林業用地を除く。)をいう。
(4) 管理不全空地 雑草等が著しく繁茂し、又は放置されている空地で、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
ア 動物が繁殖し、又は衛生害虫の発生の場となっているもの
イ 廃棄物の放置が著しいもの
ウ 樹木の枝葉又は雑草が隣地にはみ出している状態又は道路にはみ出し、安全な通行を確保する妨げとなっているもの
(5) 所有者等 空家等又は空地の所有者、管理者又は占有者をいう。
(6) 村民等 村内に居住する者、村内に通勤し、若しくは通学する者又は村内で事業活動を行う法人その他の団体若しくは個人をいう。
(当事者間による解決)
第3条 特定空家等に関し生ずる紛争は、当該紛争の当事者間において解決を図るものとする。
(所有者等の責務)
第4条 空家等の所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、自らの責任において空家等が特定空家等にならないよう適切な管理を行わなければならない。
2 空地の所有者等は、所有又は管理する空地が管理不全空地にならないような適正な管理を行わなければならない。
(村民等の責務)
第5条 村民等は、特定空家等の増加防止を図るため、村と協働し、安全で良好な生活環境の確保に努めるとともに、村がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めるものとする。
2 特定空家等であると疑われる空家等又は管理不全空地を発見した村民等は、速やかに村にその情報を提供するよう努めるものとする。
(村の責務)
第6条 村は、特定空家等の発生を未然に防止するとともに、空家等の適切な管理及び有効活用がなされるよう、必要な施策を実施するものとする。
(空家等対策計画)
第7条 村長は、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、法第6条第1項に規定する空家等対策計画(以下「空家等対策計画」という。)を定めなければならない。
2 空家等対策計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 空家等に関する対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等に関する対策の基本的な方針
(2) 計画期間
(3) 空家等の調査に関する事項
(4) 所有者等による空家等の適切な管理の促進に関する事項
(5) 空家等及び除却した空家等に係る跡地(以下「空家等の跡地」という。)の活用の促進に関する事項
(6) 特定空家等に対する措置(法第14条第1項の規定による助言若しくは同条第2項の規定による勧告、同条第3項の規定による命令又は同条第9項若しくは第10項の規定による代執行をいう。)その他の特定空家等への対処に関する事項
(7) 村民等からの空家等に関する相談への対応に関する事項
(8) 空家等に関する対策の実施体制に関する事項
(9) その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項
3 村長は、空家等対策計画の策定及び変更並びに当該計画に基づく施策の実施に当たり、あらかじめ嬬恋村空家等対策協議会の意見を聴かなければならない。
4 村長は、空家等対策計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(立入調査等)
第8条 村長は、法第9条第1項の規定により、村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関し、この条例の施行のために必要な調査を行うことができる。
2 村長は、法第9条第2項の規定により、法第14条第1項から第3項までの規定の施行に必要な限度において、当該職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。
3 村長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を空家等と認められる場所に立ち入らせようとするときは、法第9条第3項の規定により、その5日前までに、当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
4 第2項の規定により空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は、法第9条第4項の規定により、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
5 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
2 村長は、前項の規定により認定をしようとするときは、あらかじめ嬬恋村空家等対策協議会の意見を聴くことができる。
(助言又は指導)
第10条 村長は、法第14条第1項の規定により、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次条において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
(勧告)
第11条 村長は、前条の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、法第14条第2項の規定により、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
(命令等)
第12条 村長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、法第14条第3項の規定により、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
2 村長は、前項の措置を命じようとする場合においては、法第14条4項の規定により、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
3 前項の通知書の交付を受けた者は、法第14条第5項の規定により、その交付を受けた日から5日以内に、村長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
6 第4項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
2 村長は、前条第1項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第10条の助言若しくは指導又は第11条の勧告が行われるべき者を確知することができないため前条第1項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、村長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
3 村長は、前2項の代執行をしようとするときは、あらかじめ嬬恋村空家等対策協議会の意見を聴かなければならない。
(標識の設置等)
第14条 村長は、第12条第1項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他規則で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
(適用除外)
第15条 第12条第1項の規定による命令については、嬬恋村行政手続条例(平成9年嬬恋村条例第1号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。
(空地の実態調査)
第16条 村長は、第5条の規定により管理不全空地に該当するおそれがある空地の情報提供を受けたとき、又は管理不全空地であると推測されるときは、当該空地の実態調査を行うことができる。
2 前項の規定により実態調査を行う者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(管理不全空地に対する措置)
第17条 村長は、前条第1項の実態調査により、管理不全空地と認めるときは、当該管理不全空地の所有者等に対し、必要な措置をとるよう助言又は指導することができる。
2 村長は、前項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該管理不全空地の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、必要な措置をとるよう勧告することができる。
3 村長は、前項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
4 村長は、前項の規定により命令するときは、あらかじめ当該命令に係る所有者等に意見を述べる機会を与えなければならない。
5 村長は、第3項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他規則で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
(緊急安全措置)
第18条 村長は、危険な状態が切迫している空家等で所有者等が自ら危険な状態を回避することができない特別な理由があると認めるときは、必要な最小限度の措置(以下「緊急安全措置」という。)をとることができる。
2 村長は、前項の緊急安全措置を講ずるときは、当該空家等の所在地及び当該措置の内容を当該空家等の所有者等に通知(所有者等又はその連絡先を確知することができない場合にあっては、公告)をしなければならない。ただし、緊急かつやむを得ないと認められるときは、この限りでない。
(空家等の所有者等に関する情報の利用等)
第19条 村長は、法第10条第1項の規定により、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、法の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
2 村長は、法第10条第3項の規定により、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。
(空家等に関するデータベースの整備等)
第20条 村は、空家等(建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。以下この条から第22条までにおいて同じ。)に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(所有者等による空家等の適切な管理の促進)
第21条 村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。
(空家等及び空家等の跡地の活用等)
第22条 村は、空家等及び空家等の跡地(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。
(税制上の措置等)
第23条 村は、空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
(関係機関との連携)
第24条 村は、この条例の目的を達成するために必要があると認めるときは、村の区域を管轄する警察その他の関係機関に対し、必要な協力を要請するものとする。
(協議会の設置)
第25条 法第7条の規定に基づき、嬬恋村空家等対策協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 協議会の所掌事項は、当該各号のとおりとする。
(1) 空家等対策計画について、意見を述べること。
(2) 特定空家等の認定の基準について、諮問に応じ審議すること。
(3) 特定空家等の認定について、意見を述べること。
(4) 代執行の施行について、第13条第3項の規定により意見を述べること。
(5) その他村長が必要と認めること。
3 協議会は、次に掲げる者のうちから村長が委嘱する委員をもって組織する。
(1) 地域住民を代表する者
(2) 学識経験を有する者
(3) その他村長が必要と認める者
4 協議会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委任)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。
(準備行為)
2 この条例の施行の日前においても、この条例の実施のために必要な準備行為をすることができる。